健康診断などで画像検査や身体検査と共に必ず行われるのが、血液検査です。多くの人は血液検査の結果を受け取ると、基準値内に数値が収まっていたかということばかりに目が行きがちです。しかし、それでは宝の持ち腐れ。基準値については後ほど細かく説明しますが、少なくともこの特集を読んでいただいている方々には、是非とも正しい結果の見方を覚えてもらいたいと思います。
まず、血液検査とはどういうものなのか、そこから説明しましょう。血液検査と一口に言ってもその種類はさまざま。大きく分けて、「心臓や肝臓、腎臓などの臓器や組織の機能の変化を見るもの」と、「血液中のブドウ糖や脂質、栄養素などの状態をダイレクトに見るもの」の二つがあります。
前者は、からだ全体の機能が正常に動いているかや、問題がないかを調べています。異常を発見する最も確実な方法は、それぞれの臓器から組織を採取して調べることですが、それでは受診者のからだに大きな負担がかかります。からだ中を巡っている血液であれば、注射器1本で採取ができますし、たった1回の採血で、さまざまな情報を得ることが可能というわけです。
一方、後者は主に生活習慣病の可能性や危険性を見る検査です。生活習慣病の多くは症状がほとんど表れず、ジワジワと進行していきます。そこで、血液検査をすることで、このままの生活をしていれば近いうちに病気になってしまう、いわゆる「予備軍」という状態や、早期の病気を見つけ、その先に待ち受けている糖尿病、動脈硬化、脳卒中や心筋梗塞など、命に関わったり、麻痺などで生活の質が低下したりする重篤な病気を予防することができます。
専門家ではない一般の人たちが血液検査の結果を読み解くのは、難しいかもしれません。ですので、できれば結果を受け取った際に、医師などの専門家からアドバイスを受けたほうがよいでしょう。その場合、自分が望む価値観や暮らし方に寄り添ってくれる専門家を見つけておくことが望ましいと思います。
血液には実に多くの情報が詰まっているので、検査できる項目は非常に多岐にわたります。シニア世代が知りたいと思う免疫力や栄養状態、骨密度、認知症なども、実は血液検査で調べることができます。ただ、こうした検査は基本的に健診の対象外であることが多いため、気になる方は、別途オプションを付けて調べてもらうことをおすすめします。