2022年5月号の『よい日々』では、一生歩けるからだになるための歩き方「ケア・ウォーキング」についてお伝えしましたが、歩くという動作を続ける上で考えなければいけないのがシニアの方々に多い悩み「膝痛」です。主な原因は5つあります。
① 加齢によるからだの老化
② 生まれ付きの骨格の歪み
③ 歩き方やからだの使い方のクセによる負担
④ 足(足首から下の部分)のトラブル
⑤ 体重
最大の要因は、からだの機能の老化です。筋力が弱くなる、靭帯が緩む、軟骨が薄くなるといった衰えから膝にかかる負担が大きくなる上、骨自体も弱くなってしまうため体重を支えきれなくなり痛みが生じます。
二つ目の骨格の歪みは、いわゆるO脚・X脚のことです。O脚は膝が外側に彎曲した状態を、X脚は内側に彎曲した状態をいい、理由は後ほどお伝えしますが、残念ながら先天的にこのような骨の歪みがある方はどうしても膝への負担が大きくなります。
歩き方や生活行動から後天的にO・X脚になることもあります。これが三つ目のクセによって起きる膝痛です。ガニ股や内股、正座を長時間続ける、階段をドスンドスンと降りるなども膝に負荷をかける日常行動の一つ。
次に、扁平足や外反母趾、巻き爪などの足のトラブルです。足には前後左右3つのアーチがあり、歩いたり走ったりする際に衝撃を吸収するクッションの役割を果たしています。しかし、足にトラブルがあるとその機能が失われ、衝撃が直接膝に伝わることで痛みに繋がります。
生きる上で立つ・歩くという動作は避けて通れません。つまり膝には必ず体重や負担がかかるもの。歩けなくなれば寝たきりになり、より重大な疾患へ派生する危険性があるため、膝の健康はからだの健康の鍵といえるでしょう。