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脳とDHAとEPA

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  • 脳とDHAとEPA
氏家 京子さん
食生活・医学ジャーナリスト。国内と海外の優れた栄養療法や代替療法などを取材し、執筆、翻訳、講演を行う他、オンライン講座やワークショップも開催している。最新刊は写真とレシピが豊富な『野菜で治すクリニック』、アマゾンで好評発売中。
必須脂肪酸のDHAとEPAが、生活習慣病対策だけでなく、 脳や認知機能の健康維持にも役立つことがわかってきました。
国内外の栄養療法に精通する氏家京子さんに脳とDHA・EPAの関係や、 理想的な摂り方を教えていただきます。

商品特徴

脳とDHAとEPA

脳とDHAとEPA
氏家 京子さん
食生活・医学ジャーナリスト。国内と海外の優れた栄養療法や代替療法などを取材し、執筆、翻訳、講演を行う他、オンライン講座やワークショップも開催している。最新刊は写真とレシピが豊富な『野菜で治すクリニック』、アマゾンで好評発売中。
必須脂肪酸のDHAとEPAが、生活習慣病対策だけでなく、 脳や認知機能の健康維持にも役立つことがわかってきました。
国内外の栄養療法に精通する氏家京子さんに脳とDHA・EPAの関係や、 理想的な摂り方を教えていただきます。

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商品情報

2023年12月1日

脳とDHAとEPA

必須脂肪酸のDHAとEPAが、生活習慣病対策だけでなく、 脳や認知機能の健康維持にも役立つことがわかってきました。
国内外の栄養療法に精通する氏家京子さんに脳とDHA・EPAの関係や、 理想的な摂り方を教えていただきます。

  • 脳機能にもよいと注目される「DHA」と「EPA」

    •  私たちの健康に不可欠なものとして、これまでにもその重要性をお伝えしてきた「オメガ3系」の必須脂肪酸。中でも青魚などに多く含まれるのが「DHA」と「EPA」です。体内では、同じくオメガ3脂肪酸であり亜麻仁油などに豊富な「αリノレン酸」から作られ、どちらも人間の生命維持に欠かせない栄養素です。

       この2つの脂肪酸は健康に有益な点がよく似ている上、特に脳の機能と深く関わっていることからサプリメントの開発も活発に行われています。ところが、さまざまな理由から、最適な品質で摂取する機会が失われてしまっているという側面も。

       人生の最後まで脳を健康に保つためにも、DHAとEPAへの理解を深め、上手に取り入れていきましょう。


    医療の現場ではすでに成果も。脳の萎縮や認知機能改善に役立つ

    •  実はDHAとEPAは、私たちのすべての細胞に存在しています。ただし、豊富な量を保有しているのは限られた細胞に過ぎません。脳細胞、神経細胞の接合部、目の網膜、副腎(血圧・血糖・水分・塩分量などを調整するホルモンを作る器官)、生殖腺(精巣や卵巣)などで、どれも私たちが生きる上で重要な器官であることがおわかりいただけるでしょう。もし、これらの場所にDHAやEPAが不足していたら…、と思うと不安になりますよね。しかし逆にいえば、必要量さえ満たされれば、細胞たちは生き生きと気持ちよく働いてくれるのも事実です。

       実際に、高品質なDHAとEPAは医療現場でも使われ始めています。例えば、アメリカのシェルザイ医師夫妻は「DHAとEPAは脳機能の維持に欠かせない」との考え(※1)から、食と生活習慣の改善を指導し、認知症とアルツハイマー病予防の分野で目覚ましい成果を挙げてきました。この2つの脂肪酸は、脳の成長と神経伝達物質の合成に必要な栄養素であり、炎症や血液凝固の予防に不可欠であること、さらに、アルツハイマー病の患者さんの血中のオメガ3濃度は健康な人に比べて低い傾向があることもわかっています (※2)。

       またシェルザイ医師夫妻曰く、各研究機関により、血中にオメガ3が多い人は脳の萎縮率が低く抑えられることや認知機能低下がゆっくりになることが示されており、健康な高齢者を対象にした比較研究でも、約半年間のオメガ3サプリメントの摂取によって認知機能の改善が見られ、特に学習に関わる脳の構造の一部が維持されたことが観察されています。




    同じオメガ3だけど「αリノレン酸」とはどう違う?

    •  一方、DHAとEPAの最大の特徴の一つは、同じオメガ3脂肪酸であるαリノレン酸をも上回る「強い溶解力」だと唱えるのが、カナダの脂質研究者ウド・エラスムス博士です(※3)。

       わかりやすくいうと、DHAはマイナス44度、EPAはマイナス54度以下になるまで流体を保つため血中で固まらず、サラサラの血液が維持されます。これにより、70度ほどで固体化するコレステロールや飽和脂肪酸が血中に蓄積するのを防ぐといいます。事実、DHAとEPAを多く含む魚や動植物を伝統食とする北米先住民族のイヌイットは、心臓病などの脂質関連の病気が少なかったといわれており、その要因はオメガ3の高い摂取率だと考えられています。




    オメガ3の体内での代謝経路とDHAとEPAのもう一つの特徴

    •  冒頭で「DHAとEPAは、体内でαリノレン酸から作られる」と述べましたが、オメガ3脂肪酸が私たちの体内に吸収される流れは、食事で摂取したαリノレン酸から始まり、それが化学反応を起こしてEPAに変わり、その先でDHAに代謝されます。ただし、こうした体内変換の力は加齢と共に低下する上、実現させるには代謝を助ける補助因子や必須栄養素が揃っていることが条件となります。ですから、食生活全体のバランスが重要であることを忘れてはいけません。

       食事で摂取したαリノレン酸がEPAに変換される割合は1日当たり2・7%といわれています。もちろん必須栄養素が欠ければこの数値は下がり、特に重要なのが、ビタミンB3、B6、ビタミンC、マグネシウム、亜鉛です。しかしこれらもまた、加工食品が多い現代の食生活では摂取が難しくなっており、加えてストレス社会において消耗されていくものばかり。ウド博士によると、伝統的かつ健康的な食習慣を持つ人と、現代的な食生活をしている人では、αリノレン酸からEPAへの変換率に10倍以上の開きがあるそう。とはいえ、自分の体内でEPAを作ることには非常に大きなメリットがあります。それが「できたての新鮮さ」です。

       DHAとEPAのもう一つの特徴に、「高い反応性」があります。αリノレン酸以上に光・熱・酸素と反応して劣化しやすく、劣化すれば効果が失われてしまうという性質です。

       そのため、魚油から抽出・加工したDHAとEPAのサプリメントよりも、植物性油に含まれるαリノレン酸のほうが鮮度を保ったままオメガ3脂肪酸を得やすく、加えて魚油に心配な水銀汚染などが避けられる利点もあります。

       しかし一方で、この高い反応性があるからこそDHAとEPAは、神経や目の網膜などの繊細な機能の改善に役立ち、また新鮮であるほど健康効果は上がります。ですから、体内で作ったり質の高いサプリメントを摂取したりしながら、必要量をきちんと摂ることが大切です。


    本当に理想的な摂り方は「クリーン」で「効果的」に!

    •  これらの複雑な背景を総合的に考えると、加工時に失われやすいDHAとEPAは食事でも積極的に摂取するのが望ましく、その場合「水温が低く汚染されていない海域に生息する新鮮な天然魚(サケ、サバ、イワシ、ウナギなど)を、揚げ物にせず(高温に弱いため)、刺身や皮付きのまま茹でて食べるのがよい」とウド博士は提案しています。魚由来のDHAとEPAは、2~3週間かけて体内で代謝される間に、中性脂肪の低下、血小板の凝集予防、動脈の保護などの効果をもたらしてくれるでしょう。

       また、前出のシェルザイ医師夫妻は、より吸収されやすく海洋汚染の心配が少ない藻類由来のDHAとEPAを推奨しています。サプリメントも藻類を原料にしたものを選び、1日250mgを目安に摂るとよい、というのが彼らの提案です。

       考えてみれば、魚に含まれるDHAとEPAのもとは、餌であるプランクトンや藻類が持つ植物性のαリノレン酸です。食物連鎖ピラミッドのより下位にある食材に注目し、クリーンで効果的なDHAとEPAが取り入れられるとよいですね。食事とサプリメントのダブルの力で、長く脳機能の健康を保っていきましょう。




      参考文献
      ※1 米国ロマリンダ大学、アルツハイマー予防プログラム
      ※2 THE ALZHEIMER'S SOLUTION, Dr.Dean Sherzai & Dr. Ayesha Sherzai, Simon & Schuster, 2017
      ※3 FATS THAT HEAL FATS THAT KILL, Udo Erasmus, alive books, 1986

    • まとめ

      DHA・EPAとは?

      1. DHAとEPAは生命維持に欠かせないオメガ3系の必須脂肪酸
      2. 脳機能の維持、生活習慣病対策に役立つ
      3. 青魚に多く含まれる。体内で、亜麻仁油(αリノレン酸含有)などから変換され作られる
      4. 体内での変換率は加齢と共に低下する
      5. 藻類などを原料とするDHA・EPAのサプリメントが注目されている

      昔から日本には魚食文化があり、毎日のように召し上がっている方が多いでしょう。魚は健康に役立つ多くの栄養素を含み、特に、DHAとEPAを摂れることは大きなメリットです。
      ただし、近年の海洋汚染の影響が心配な方は、亜麻仁油を含む植物油やサプリメントを習慣にするのもよい選択だと思います。   よい日々編集 竹村

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氏家 京子さん
食生活・医学ジャーナリスト。国内と海外の優れた栄養療法や代替療法などを取材し、執筆、翻訳、講演を行う他、オンライン講座やワークショップも開催している。最新刊は写真とレシピが豊富な『野菜で治すクリニック』、アマゾンで好評発売中。