コロナ禍の夏も3年目。夏はただでさえ暑さで食欲がなくなるものですが、近年は特に、マスクを着用しての外出を避けたいと買い物の頻度を減らしているシニアが多く、食事が「手軽なもの」「日持ちするもの」に偏る傾向があり栄養面での心配が高まっています。
麺類やパンなどが増えれば、必然的に糖質の摂取量が多くなりますし、新鮮な肉や魚、野菜の買い控えは、たんぱく質・ビタミン・ミネラル不足の原因に。例えば、夏の体調維持に欠かせないビタミンB1は糖質を代謝する際にたくさん消費されてしまうため、糖質が多い食事が続くと、結果的にビタミンB1不足に陥り、夏バテを引き起こします。
さらに冷たいものの摂り過ぎで胃腸が冷えたり、暑さがストレスになって胃腸の働きを鈍らせたりするため、無自覚の内に消化・吸収の働きが低下しがちです。同じ食事を摂っても低栄養のリスクが高まりますので、食事の内容や摂り方をより意識しなければいけません。
このような低栄養の状態が続けば当然、疲れやすくなります。そうすると活動量が減り、さらに食欲がなくなり低栄養になる…という負のスパイラルを招きます。加えて、栄養不足による筋力や免疫力の低下、骨折、貧血の危険性も。高齢になると回復力も落ちるため、夏の体調不良が秋や冬の健康状態にも悪影響を及ぼしかねません。だからこそ夏の今、健康的な食事を心がける必要があります。「上手に食欲を促して栄養を確保し、楽しみながら食べて吸収を高める」。これが夏の食事のポイントです。