毎日野菜を食べましょう、いろいろな種類の野菜をバランスよく、などということをよく耳にします。サラダや煮物をメニューに加えたり、青汁のような健康食品を利用し、野菜を摂るように心がけている方も多いと思います。
でも、どうして野菜? 健康にどう役立つの? と疑問に思うことはありませんか? 今月号では、管理栄養士の山本初子先生に野菜に含まれる栄養素の働きについて基本的なことを教えていただきます。
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野菜不足は、病気の原因や死亡率とも関わりがあります h3>
厚生労働省が示す指針では、病気を予防するためには「成人の1日あたりの野菜の摂取量は350グラム以上を目標とする」としています。世界のさまざまな調査で、1日の野菜(果物も含む)の摂取量がゼロだと最も死亡率が高く、摂取量が増えるにつれて死亡率が下がり、1日350~700グラムぐらいまでは、死亡率がほぼ同じであると言われています(*2)。350グラムという数字は、健康を維持するための1つの目安となっています。
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健康維持に必要な1日の野菜摂取量の目安は350グラムです。
厚生労働省が提唱する健康づくりの指標によると「野菜は1日350グラム食べましょう。そのうち120グラムは緑黄色野菜を」とされています。
緑黄色野菜には淡色野菜にはないβ-カロテンやリコピンなどが豊富に含まれています。
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野菜の栄養素を活かすには、食べ方の工夫も h3>
加齢とともに少食になると、ボリューム感があるというだけで食欲をなくすこともあると思います。山盛りの生レタスよりも、短時間湯がくか蒸して見た目を小さくすると箸をつけやすくなりませんか? または、生の葉だけでなく茹でた豆類や根菜なども加えてみると、ストレスなく食べることができるようになるでしょう。
また、噛むことは、消化を助け、脳の活性化にもつながります。噛む力があることで健康寿命が延びるという報告もありますので、あえて一品程度は、歯ごたえのある料理にするのもいいですね。
最後に、野菜が大切だからといって、「野菜さえ食べていればよい」という意識ではなく、肉、魚、豆類、穀類、その他の食材もバランスよく食べ、そのうえで野菜を食べることが、野菜の栄養素を活かす最も大切なことです。
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1日350グラムは、野菜料理5皿になります。
片手サイズの小鉢の料理が、およそ70グラムと言われています。そのサイズの野菜料理を1日3食の中で5皿ほど食べると、だいたい350グラムになります。旬の野菜を取り入れたり、全体の彩りをカラフルにすることを心掛けたりすれば、おのずと摂れる栄養素も豊富になります。
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これからもお悩みの方に寄り添って h3> ● 野菜は多種多様な栄養素が含まれ、ビタミン、ミネラル、食物繊維を効率的に摂ることができます● ビタミン・ミネラルが不足すると、たんぱく質や脂質が本来の働きをすることができません● 健康維持や病気予防に必要なビタミン・ミネラル・食物繊維などの栄養素を摂るために1日350グラム程度の野菜を摂りましょう
今回の特集のキッカケは、野菜を1日350グラム食べましょうとテレビCMなどで宣伝されているのを見て、その根拠を知りたくなったからです。
もちろん量も大切なことですが、それよりも野菜に含まれる栄養素の重要性にあらためて気づかされました。野菜の調理方法などを工夫して、1日5皿の野菜料理を続けてみませんか?(よい日々編集 竹村)
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山本初子先生
管理栄養士
専門学校や大学で教授を歴任。栄養学関連の科目を担当し、栄養士や管理栄養士の卵たちの育成に携わること約50年、教科書の著述も。近年は、食育関連のコラムなども執筆。
山本初子先生
管理栄養士専門学校や大学で教授を歴任。栄養学関連の科目を担当し、栄養士や管理栄養士の卵たちの育成に携わること約50年、教科書の著述も。近年は、食育関連のコラムなども執筆。