幼い頃から教育されてきた「規則正しい生活」。しかしもし、「毎日同じ時間に早寝早起きし、同じ時間に3食食べること」と思われているなら、これを機に是非考えを改めてください。
私たちのからだの状態は、年齢や季節によって変わります。子供とシニアとでは細胞・器官の機能や調整力、また体力も大きく異なりますし、季節でいえば、同じ朝6時でも冬は暗くて寒く、夏は明るく暑いので、からだはそれに対応しようとします。となれば、時期(時季)に応じた生活リズムがあるべきということはおわかりいただけるでしょう。大事なのは「今の自分に合った生活リズム」を見付けて変えていくこと。規則正しい生活とは一定であることではなく、環境の変化に合わせた柔軟性を持ちながら、からだによい生活を送ることなのです。
キーワードは「生体リズム」と「体内時計」です。まず生体リズムとは、「さまざまなからだの働きを円滑に行うために備わっている周期メカニズム」の一つ。例えば、日中は体温や脈拍が高く、夜になると低くなるのも生体リズムによるものです。生体リズムに沿った生活を送れば、心やからだに負担がかからず健やかに過ごせますが、夜更かしや暴飲暴食といったリズムに反する行動を取るとからだへ負荷となり、体調を崩したり病気の原因になったりします。
一方で体内時計は、その生体リズムのベースとなっているものです。個人差はありますが、およそ25時間周期であることがわかっており、1日24時間の周期とずれた1時間分を調整するのが朝の太陽光といわれています。私たち人間のからだは日中に活動するようにできているため、朝日を浴びる・朝食を摂るなどの行動によって毎日体内時計をリセットし、体外の環境と同じになるように調整されるというわけです。従って「自分は生まれ付きの夜型」という方がいますが、これは単に夜型の生活を続けるうちに慣れただけと考えられ、体質とはいえません※。
ただし残念なことに、体内時計も老化していきます。若い時、夜更かしや徹夜といった生体リズムに反した行動によってからだに負荷をかけても元気でいられたのは、体内時計の調整力が保たれており、自力で元に戻せたおかげです。しかし、シニアになるとそうはいきません。一度狂った体内時計は回復しづらく、負担がかさめば病気に繋がることも。だからこそ生活リズムを整え、行動で意識的に補う必要があります。
ちなみにもう一つ、意外と盲点になっている食事についても付け加えておきます。食事も、毎日同じ時間に食べることが正しいわけではありません。よい生活リズムを送っていれば、結果的に同じ時間に空腹になり、排便も規則正しくなる、というのが本来の流れ。空腹でなければ無理に食べる必要はなく、量や内容も調整を。もちろん、暴飲暴食や夜遅い時間の食事は体内時計を狂わせる大きな要因になるので控えてください。
※何らかの理由で体内時計が乱れる病気「概日リズム睡眠障害」などで夜型になるケースはあります。