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上手に脂質を摂る

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  • 上手に脂質を摂る
安藤 ゆりえ(あんどう・ゆりえ)さん
管理栄養士・みりんスイーツ研究家。大学卒業後、管理栄養士として老人保健施設で高齢者の栄養管理に従事。現在は「血糖値を考えた食べ方」に着目し、シニア向け料理教室の講師や三河みりんの普及に力を入れる。
「脂質」は健康を支える三大栄養素の一つ。しかし、加齢に伴う食事の量・嗜好の変化や消化機能の低下から、摂り方には工夫が必要です。
シニアのための上手な脂質の摂り方を、管理栄養士・安藤ゆりえさんに教えていただきます。

商品特徴

上手に脂質を摂る

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安藤 ゆりえ(あんどう・ゆりえ)さん
管理栄養士・みりんスイーツ研究家。大学卒業後、管理栄養士として老人保健施設で高齢者の栄養管理に従事。現在は「血糖値を考えた食べ方」に着目し、シニア向け料理教室の講師や三河みりんの普及に力を入れる。
「脂質」は健康を支える三大栄養素の一つ。しかし、加齢に伴う食事の量・嗜好の変化や消化機能の低下から、摂り方には工夫が必要です。
シニアのための上手な脂質の摂り方を、管理栄養士・安藤ゆりえさんに教えていただきます。

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2023年5月1日

上手に脂質を摂る

「脂質」は健康を支える三大栄養素の一つ。しかし、加齢に伴う食事の量・嗜好の変化や消化機能の低下から、摂り方には工夫が必要です。
シニアのための上手な脂質の摂り方を、管理栄養士・安藤ゆりえさんに教えていただきます。

  • 年を重ねても不可欠。脂質だけが担う役割がたくさん

    • 「アブラ」と聞いただけで、肥満やメタボと結び付けてしまう方がいらっしゃいますが、脂質は私たちの生命を維持するために不可欠な栄養素。ただし脂質にはさまざまな種類があり、それを理解した上で上手に摂ることが大切です。

       まず、脂質は大きく「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」に分けられます。飽和脂肪酸は主に、肉の脂やバターなどの動物性脂肪に多く含まれ、常温では固まっている脂質のこと。一方、不飽和脂肪酸は植物や魚に由来する油で、常温でも液体です。不飽和脂肪酸はさらに、体内で作ることができる「一価不飽和脂肪酸」と、体内で作ることができないため食事で摂る必要がある「多価不飽和脂肪酸(必須脂肪酸)」に分けられます。それぞれ後ほど詳しく説明しますが、まずこれらすべての脂質は、大まかに次の6つの役割を持っています。

      ①効率のよいエネルギー源になる
      ②細胞膜の構成成分になる
      ③脂溶性ビタミン(ビタミンA・D・E・K)の吸収を促進する
      ④肝臓で胆汁酸に変換され消化液の材料になる(消化吸収を助ける)
      ⑤からだを調整する機能を持つ、性ホルモンや副腎皮質ホルモンの材料となる
      ⑥体温を維持し、内臓を保護する

       中でも②〜⑥は脂質だけが持つ機能なので、年を重ねても、やはり必ず摂る必要があります。

       例えば脂質が不足すると、粘膜や皮膚を健康に保つビタミンA・Eなどの脂溶性ビタミンの吸収率が悪くなり、粘膜による保護力やビタミン不足による体内機能の低下から、免疫力の低下を招きます。また、約50種類ほどある、脂質を材料とするホルモンには、抗炎症作用や糖代謝・血圧を正常に保つ作用が。脂質が足りなくなれば、これらのホルモン生成にも支障をきたします。つまり、脂質不足はからだのさまざまな機能に影響を及ぼすのです。



    肉の控え過ぎは注意!脂質量を知って上手に摂ろう

    •  脂質は、減らし過ぎず、適度に摂ることが大切。では、どんな脂質をどのように摂ればよいのでしょう。まず飽和脂肪酸から説明します。

       前述の通り、飽和脂肪酸は主に動物性の脂肪に含まれます。ラードやバター、牛乳などに多く、腸で吸収された後は必要な時にエネルギーとして使われますが、消費エネルギーが少ない時は体脂肪として蓄積されるために一般的には「太りやすいアブラ」といわれる脂質です。

       そんなイメージから、健康診断の結果で「中性脂肪が高い」と出ると肉類を減らす方がいらっしゃいます。しかし、肉類は貴重なたんぱく源であり、たんぱく質不足は筋力低下などをもたらし危険です。中性脂肪の数値が高くなる要因は脂質が多い食品だけでなく、糖質やアルコールの摂り過ぎの可能性も。肉だけを極端に減らさず、肉、魚、卵、大豆製品など、多様な食品をまんべんなく摂ることが大切です。

       1日の脂質の摂取目安量は40~60g(女性50~64歳、身体活動レベル普通の場合*)ですから、食品や料理に含まれる脂質量を知っておくと脂質の摂り過ぎを防ぎながら適量のたんぱく質を摂ることができます。左に示した肉料理の脂質量を参考にしてみてください。

       肉の選び方・食べ方のポイントとしては、豚肉や牛肉の場合は脂身が多いバラは控えめにし、ヒレやもも、ランプなどの部位を選びましょう。特にカルビやサーロインといった脂質が多い肉は、脂質の過剰摂取に繋がりやすいだけでなく、年齢を重ねると胃もたれや下痢を招きやすくなります。これは加齢によって胃の働きが低下したり、胃酸分泌が減ったりすることが原因で消化不良が起こるからです。こうした点からも脂質が少ない肉という選択を。鶏肉は皮を取れば、ももでもむねでも大丈夫です。

       ちなみに、飽和脂肪酸の中でも例外として、ココナッツミルクなどに含まれる「中鎖脂肪酸」(MCTオイル)は、消化されやすく効率よくエネルギーになる脂質として注目されています。エネルギー不足が心配な方は食事に取り入れましょう。加熱せず、必ず生で使ってください。






    植物油は野菜と一緒に摂ってビタミンの吸収率を上げよう

    •  もう一方の不飽和脂肪酸は、植物や魚の油に含まれ、中でも必須脂肪酸は食事からしか摂取できない大切な栄養素。健康のためには積極的に摂りたい脂質です。脂溶性ビタミンの吸収率を高めるので、野菜と一緒に摂ることをおすすめします。オリーブオイルや米油、菜種油には、油そのものにもビタミンEが含まれており、ビタミンEの補給源としても役立ちます。

       各ビタミンの役割と、豊富に含まれる食材は左上の表をご覧ください。ビタミンAは免疫力維持に、ビタミンD・Kは健康な骨作りや骨粗しょう症対策に、ビタミンEは抗酸化作用があり、若々しさの維持に役立ちます。是非、普段の食事の参考にしていただけると嬉しいです。

       使い方の例としては、サラダのドレッシングや、野菜料理の和え衣や調味、炒め物に用いるなどがよいでしょう。炒め物にオリーブオイルを使うと、風味や味わいに深みが増すのでおいしさの面からもおすすめです。もし油っぽさが気になったら、酢やレモン汁などで酸味を足すと食べやすくなります。

       ある研究では、ビタミンAの一種であるベータカロテンは植物油と一緒に摂ると2・7倍吸収率が上がることが報告されています。もちろん個人差があるので一概にはいえませんが、効率よく栄養を摂るためにも、やはり植物油は適度に使っていくとよいといえそうです。

       青魚もしっかり摂りたい食材です。焼き魚もよいですが、必須脂肪酸は熱に弱いので、一番推奨したい食べ方はお刺身。もしくは、カルシウムなど魚の栄養素を丸ごと摂れる缶詰を活用するのもよいと思います。

       脂質は健康長寿に欠かせない働きを持つ栄養素です。「減らし過ぎず、毎日適量を摂り続けること」が、脂質との上手な付き合い方。是非、おいしく楽しみながら取り入れてください。



    • まとめ

      シニアの上手な脂質の摂り方

      1. 脂質だけが持つ役割がある。年齢を重ねても、必ず摂らなければいけない栄養素
      2. 肉類を減らし過ぎるとたんぱく質不足に繋がる恐れがあるので、脂質が少ない肉を選び、適量を食べる
      3. 卵は1日1個を目安に
      4. 青魚の必須脂肪酸は刺身で摂るのがおすすめ
      5. 脂溶性ビタミンの吸収のためにも、脂質は減らし過ぎない

      たんぱく源として摂りたい食材には脂質も多めに含まれることが多いので、たんぱく質と脂質をバランスよく摂るのが難しいと以前から思っていました。まずは、偏ったり減らし過ぎたりがないようにしましょう。 また、脂質異常症で治療されている方は、主治医の指示に従ってください。 よい日々編集 竹村

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安藤 ゆりえ(あんどう・ゆりえ)さん
管理栄養士・みりんスイーツ研究家。大学卒業後、管理栄養士として老人保健施設で高齢者の栄養管理に従事。現在は「血糖値を考えた食べ方」に着目し、シニア向け料理教室の講師や三河みりんの普及に力を入れる。