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2024年3月1日
タラの芽やふきのとうなど、苦味がある食材が旬を迎える春は、冬に溜め込んでいた毒素をからだから追い出す「解毒の季節」です。 実際に私たちは、普通に生活しているだけでも、食事や環境からさまざまな物質を体内に取り込んでいます。中にはからだに有害なものもあり、アルコールやたばこ、カフェイン、食品添加物、農薬、薬剤、花粉などが代表例です。 それでも健康でいられるのは、それらの有害物質は日々、老廃物として体外に排泄されているから。いわば「解毒」が行われており、この重要な働きを担うのが肝臓と腎臓です。「肝腎(心)要」という言葉があるように、昔から肝臓と腎臓は重要な存在だと考えられていたわけです。 しかし当然、この2つの臓器も加齢と共に衰えます。今回は、これらの機能をよりよく保つための生活を一緒に考えていきましょう。
そもそも肝臓は「化学工場」に例えられるほど、体内に入ってきたさまざまな物質を分解・処理する臓器です。主な働きは3つあり、その一つが今回のテーマである「解毒」。食品添加物や薬剤など、食事で摂った有害な物質や、からだの中で生成された不要な物質(アンモニアなど)を無害化して、便や尿として外に出します。つまりフィルターのような役割をして、有害物質から全身を守っているのです。 それ以外の働きには、「代謝」と「貯蔵」があり、食事を経て腸から肝臓に運ばれてきた栄養素(糖質・脂質・たんぱく質など)をからだの中で使えるかたちに変換したり(=代謝)、使われなかった栄養素を蓄えたり(=貯蔵)しています。 一方、腎臓の主な働きは、血液中から必要なものを再吸収し、不要な老廃物を尿として排泄すること。「ろ過」の役割を担っています。
では、解毒について詳しく掘り下げていきましょう。まずは肝臓からです。 前述したように、肝臓は食事で摂取した食品添加物や薬剤、アルコール、そして代謝によって生じたからだに有害な物質などを毒性の低い物質に変え、尿や胆汁と共に排泄させています。つまり肝臓の働きが悪くなると、こうした物質が有害なまま体内に残り、血液にのって全身に送られることに。その結果、からだが汚れた 状態となれば、不調や病気が起こることは容易に想像できるでしょう。 私は外科医として肝臓を手術した経験がありますが、肝臓は他の臓器と比べてもとても再生力が高く、かなりの部分を切除しても1年程で元に戻ります。つまりそれくらいからだにとって重要な臓器なのです。しかし見方を変えると、肝臓の働きが低下するということは、その再生力をもってしても追い付かないぐらいにダメージを受けているということに他なりません。 特に注意したいのが、食品添加物とアルコールです。食品添加物は、確かに国で認められている物質ではありますが、複数の添加物を同時に摂った場合の相互作用は示されていません。添加物を多く摂ればその分、肝臓はフル稼働して解毒をしなければならず、非常に負荷がかかります。もちろんアルコールも、飲み過ぎは厳禁。分解に肝臓の働きが必須であることはもちろん、その後にできた毒素もからだにダメージを与え、脂肪肝や肝炎の原因にもなります。 他にも、糖質や脂質に偏った質の悪い食事や、そもそもの食べ過ぎも常に肝臓を働かせることとなり、肝臓の疲労を招きます。また近年は、甘い物の過剰摂取による肝臓病が問題に。「お酒を飲まないから大丈夫」ではなく、総合的にバランスのよい食生活を心がけましょう。 ちなみに、たばこの煙や花粉、汚れた空気など、呼吸によって肺から入る物質のことも忘れないでください。最終的には肝臓まで届いて解毒はされるものの、食べ物と違って先に全身を巡ってから肝臓に行き着くため、フィルターを通すまでに時間がかかります。 続いて、腎臓です。腎臓は、全身から集まってきた血液をろ過して、老廃物は尿として排泄し、からだに必要な水分やミネラル、アミノ酸などは再吸収しています。腎臓が2つあるのも、やはりからだにとって重要な臓器だから。腎臓の働きが低下すれば、腎不全となって老廃物がからだに蓄積し、人工透析によって腎臓の機能を補う治療が必要になってしまいます。 肝臓と腎臓はお互いに影響を及ぼすので、肝臓の健康を保つことは腎臓の健康を保つことに繋がり、その逆も然りです。これら2つの臓器の機能低下で生じる健康問題には個人差が大きく、実にさまざまありますが、わかりやすい例として皮膚のトラブルやアレルギー反応などがあり、疲れやだるさを感じる方もいます。
以上のことから、肝臓と腎臓の健康を保つために大切なのは3つ、「食事の質の改善」「食べ過ぎない」「アルコールを控える」です。 まず質については、「野菜が多めのバランスのよい食事」「添加物の少ない食品」を心がけてください。自然な方法で育てられた食材で作る和食がおすすめです。特に、手軽だからとパンや麺類に偏った食事をしていると、肝臓は糖質ばかりを代謝しなければならず負荷がかかります。また、市販の食品もきちんと選ばなければ添加物の過剰摂取に繋がるため要注意です。 食べ過ぎも、肝臓と腎臓には負担大です。腹八分目(できれば腹六分目)にし、甘い物はほどほどに。食べるなら夜よりも日中にしましょう。 ご自身やご家族にお酒を飲む習慣がある場合は、必ず連続して週2日の休肝日を設けて肝臓を休めてください。肝臓を休めると腎臓も休まるので「休肝日」は「休腎日」にもなります。 肝臓も腎臓も、ダメージを受けても症状に現れない”沈黙の臓器“です。意識して気遣わなければなかなか不調に気付くことができません。脂っこい食事を摂ったりアルコールを飲んだりした翌日になんとなく体調が優れなければ、食べ過ぎ・飲み過ぎで肝臓や腎臓が疲れているかも。自分の行動と体調を照らし合わせることで改善点が浮き上がってくるはずです。その上で、年に一度の健康診断の数値を参考に、肝機能・腎機能の健康状態を確認するとよいでしょう。 それから、腸内環境を整えることも大切です! 食べたものは腸を通って肝臓に届くため、腸がしっかり機能してよい状態のものを肝臓に送ることができれば肝臓の負荷は減ります。納豆やヨーグルトなどの発酵食品の摂取、質のよい睡眠、ストレス対策をお忘れなく。 肝臓と腎臓の健康は全身の健康に直結します。まさに「肝腎要」。これを機に、日頃の生活習慣を今一度見直してみましょう。
まとめ
肝臓と腎臓の解毒機能とは
肝臓・腎臓に限らず、内臓の働きをよくするためには、食べ過ぎない、飲み過ぎないことが大事だそうです。そうすると代謝に余裕が生まれ、スムーズな解毒に繋がります。 花粉が気になる季節になりました。肝臓と腎臓がしっかり働くように、生活習慣も見直してみましょう。 よい日々編集 竹村