例えばドイツでも、コロナ禍のホームオフィスで自炊が習慣になった人は多くいます。インフレで外食が割高になっていることも重なり、健康維持と節約を兼ねたお弁当派も増えました。コロナ前から人気だった野菜やフルーツ等のジュースに代わり、より免疫力を維持する為にと、生姜とターメリックを凝縮したエキスを選ぶ人も増えています。
運動や社交の場も大きく変わりました。ジムに戻った人もいますが、感染防止とビタミンD形成の為の日光浴を兼ね、緑地公園や空気の澄んだ山で身体を動かす習慣が定着した人も少なくないようです。私自身も、以前は街中のカフェで会っていた友人とフランクフルト郊外の山の麓で待ち合わせ、1〜2時間位ハイキングしながら、近況報告をしたり持参したハーブティーを楽しんだりしています。1人暮らしをしている息子とも、犬の散歩がてら山で会うようになりました。
また最近、合気道を習い始めたのですが、定年後に合気道を始めたクラスメイトが、皆を家庭菜園に招待してくれました。持ち寄りでバーベキューを楽しんだ後、菜園を案内してくれ、りんごやブドウ、ローズマリーをお土産にしてくれたのがとても良い思い出です。自然の中での人との触れ合いは、誰しもに深い癒しのパワーをくれると実感します。
そうした新しい出会いの機会があることは、日常が戻ってきた証かもしれません。先日、街を歩いていて見つけたハーブサロンでアナさんという素敵な女性に出会ったのですが、彼女はコロナ禍で広告代理店を辞職し、母親と一緒にそのサロンを開業したそうです。フランクフルト近郊の野生ハーブをコンセプトに、ハーブツアーやワークショップ、高級ディナー等の企画を次々と展開し、注目を集めています。すっかり彼女と意気投合した私は早速、野生ハーブツアーに参加。市内から20分程の小さな森に沢山の種類の食用ハーブが存在しているなんて今まで知らなかったので、とても驚きました。森でハーブを摘みながら、食用ハーブとそうでないハーブについてみっちり教えて貰ったことで、今度は1人でハーブ採集に出掛けてみたいと思っています。アナさん自身は講習や学校で何年もハーブの勉強を重ねてきたそうです。しかし、難しいラテン語で表記された植物としてのハーブでなく、あくまで日常に取り入れられる「安全で美味しいハーブ」の紹介にフォーカスし、こんなに多様で豊かな自然(しかも無料!)が身近に存在していることに気づきを得て欲しいと言っていたのが印象的でした。