身近に存在する健康リスクとして注意したい「食中毒」。毎日の食事と密接な関係にあるため、いつ誰に起こっても不思議ではありません。
そもそも食中毒とは、からだにとって有害な細菌やウイルスなどの物質が付着した食べ物を摂ることによって生じる不調の総称です。ノロウイルスのように、感染後にも人から人へ飛沫・空気感染するものもあれば、フグやきのこの自然毒、寄生虫による体調不良も食中毒の一種。共通する症状には下痢、嘔吐、腹痛、発熱などがあり、体内に入った有害物質を追い出そうと、からだが抵抗している証です。
こう考えると食中毒は季節を問わず発生しているのですが、夏や冬になると増加するイメージはありませんか? これは、食中毒の原因となる有害物質の違いが大きく関係しています。
まず、今から夏場にかけて増えるのは「細菌性」の食中毒です。O157、カンピロバクターなどが代表例で、細菌は、20〜40度の環境下で増殖しやすいという性質を持つため、この条件に当てはまる夏に食中毒が増える傾向があります。
一方で冬に多発するのは、ノロウイルスに代表される「ウイルス性」の食中毒。ウイルスは、気温が低く乾燥した環境下で増殖しやすいことから、冬にも食中毒が多く発生します。
ただし、同じものを食べても、症状が出る人と出ない人がいますよね。これは、健康状態…、つまり体調や免疫力の差によるもの。例えば健康な人の場合、多少の食中毒菌を摂っても、胃酸で殺菌したり腸内細菌が増殖を抑えたりして症状を最小限にすることができますが、体調が優れない時や子供、高齢者など、免疫力が低い人の場合はこれらの対応ができず、不調として現れることに。特に高齢者は、そもそもの免疫力が衰えている上に持病がある人も多いため、少量・弱毒の食中毒菌でも症状が出やすく重症になる傾向があり注意が必要です。