年齢を重ねるにつれ、腰の不調を感じる方も多いのではないでしょうか? 一言で腰痛といっても、痛む部位や感じ方は人それぞれ。実は、腰痛を抱える人の約85%は明確な原因が特定されていないともいわれるほど、厄介者です。
今回はそんな腰痛対策のポイントをお伝えしていきますが、まず「腰」について考えてみます。皆さん、腰に手を置いてみてください。どこに触れましたか? 恐らく多くの方がくびれの背中側部分を指したことでしょう。確かに、解剖学的には正解です。しかし、腰に関わる筋肉はお腹側にもあり、肋骨の下の「5つの腰椎から骨盤までをぐるりと一周した筒状の部分」、つまりお腹側も含めて腰だという考え方もあります。
主な役割は、重い上半身を支え、からだを曲げる・反る・ねじるなどの動作や歩行をスムーズに行うこと。また内臓や神経を守る働きも。でも考えてみてください。これほど複雑で重要な役割を持つにも関わらず、それを可能にしているのは、固定された骨盤を除くとたった5つの腰椎のみ。いわば胸郭と骨盤を繋ぐ棒のような骨だけで全身の動きを司っているのです(図①)。
実は、シニアの方に腰の不調が出るのは至極当然のことです。かつてヒトの祖先がまだ四足歩行だった頃は、背骨が梁、前足(腕)と後ろ足(脚)が柱のような役割をしながらからだ全体を支えていたので、腰への負荷は分散されていました。しかし、二足歩行への進化によって頭から胸の重みは自ずと腰に集中することに。その上で年を取ればそれだけ長い時間、からだの重みが腰にかかることになります。加齢や運動不足による筋力・骨の衰えが重なれば、腰が悲鳴を上げるのもご理解いただけるでしょう。
とはいえ、腰はからだの動きの要ですから、その不調は生活に支障をきたします。ではどのような対策を取ればよいのか…。その鍵が今回のテーマ「姿勢」にあります。