近年「プラントベース・ホールフーズ」の健康効果が世界的に注目されています。「植物性の未精製食」という意味で、植物性の食材を精製加工し過ぎずに食べること。わかりやすくいえば、野菜や果物はなるべく皮ごと食べるなど、より自然に近い状態の植物性食品を指します。
こうした植物性未精製食は現在、主に葉野菜・根野菜・実野菜・豆科野菜・ナッツ類・タネ類・穀物・果物・きのこ類・藻類・海藻などで、人間の健康に与える効果が研究されており(※1)、「植物性」だけでなく「未精製」が同等に重要視されるのは、精製加工で失われがちな「必須栄養素」を食べることに意味があるからです。
私たちの生命活動に絶対に必要なのが約50種類の必須栄養素です(※2)。具体的には20〜21種類のミネラル類や13種類のビタミン類、2種類の必須脂肪酸などがあり、もしこの中の一つでも欠ければ、必須栄養素のすべてが本来の力を発揮できず健康に問題が生じます。
精製加工された食品は、これらの大切な必須栄養素を、食べる前の段階で除いてしまうだけでなく、口にした後の体内からも奪います。
身近な食品の小麦を例に説明しましょう。パン・麺類・焼き菓子・調味料など、多くの加工食品に使われているのが精白小麦です。小麦には、全粒粉に代表される未精製の場合、必須ミネラルであるカルシウムとマグネシウムが1対4の比率で含まれていますが、精白すると7対1に逆転します(※3)。精製によって、マグネシウムの量が劇的に減ることが要因といわれています。
カルシウムが残るから骨の健康には影響がないのでは? と考える方もいらっしゃるかもしれませんね。でも、それは間違い。実は、食事中のカルシウムは、マグネシウムが豊富にある時にしか吸収されません。マグネシウムが不足していると、せっかく口にしたカルシウムも体内を素通りしてしまい、役に立たないのです。どうですか? 未精製食品の重要性を少しは感じていただけたでしょうか。
現代の食生活ではこのように必須栄養素を奪う要因が増えているため、食生活全体の見直しが必要です。次の表に示した主な要因を、是非ご自身の食生活と照らし合わせ、植物性の未精製食を選択肢に加えてみてください。