年を取ると「目覚めが早くなる」「眠りが浅い」「途中で何度も起きてしまう」といった話をよく聞きます。実際に下のグラフを見ても、年齡を重ねるほど睡眠時間が短くなる傾向があるのがわかります。しかし、加齢と眠りの関係は個人差が大きく、いくつになっても「よく眠れる」という人がいるのも事実です。
一般的に、シニアの方の眠りが浅くなりやすい理由には、次の3つが考えられます。
①睡眠に関わるホルモンの分泌量が減る
まず、「メラトニン」という睡眠に関わる脳内ホルモン物質の減少です。メラトニンには睡眠と覚醒のリズムを整える働きがあり、夜間にかけて分泌量が増加すると共に眠気を誘うのですが、加齢に伴ってその分泌量が減ることがわかっています。50〜60代は、20歳前後のピーク時と比べるとなんと10分の1に。そのため眠りが浅くなり、中途覚醒(夜中に起きること)が起こりやすくなると考えられます。
②活動量(運動量)が減少する
また、シニアは日中の活動量が減りがちです。からだを動かさないと疲れないため、からだを休める(睡眠を取る)必要がなくなり、結果的に眠りが浅くなる傾向があります。
③夜中、トイレに起きてしまう問題
「トイレに行きたくて目が覚める」という方も多いでしょう。これは、加齢に伴いおしっこを溜める膀胱の力が弱まるからです。我慢するのが難しくなるため夜間に起きてしまい、眠れた気がしないというシニアは少なくありません。
この他、膝や腰の痛みや肌のかゆみ、睡眠中に呼吸が止まる睡眠時無呼吸症候群という病気などで、眠りが妨げられる場合もあります。