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上手な糖質の取り方

上手な糖質の取り方
  • 上手な糖質の取り方

 糖質は食品に含まれる多くの栄養素のうち、生命維持に欠かせないエネルギー源になる栄養素の一つです。その基本的な働きと現代の食生活における糖質の上手な摂り方を管理栄養士の山本初子先生に教えていただきます。

商品特徴

上手な糖質の取り方

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 糖質は食品に含まれる多くの栄養素のうち、生命維持に欠かせないエネルギー源になる栄養素の一つです。その基本的な働きと現代の食生活における糖質の上手な摂り方を管理栄養士の山本初子先生に教えていただきます。

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商品情報

2020年4月1日

上手な糖質の取り方

 糖質は食品に含まれる多くの栄養素のうち、生命維持に欠かせないエネルギー源になる栄養素の一つです。その基本的な働きと現代の食生活における糖質の上手な摂り方を管理栄養士の山本初子先生に教えていただきます。

  • 糖質とは?エネルギー源としてのメリットは?

    •  「糖質」と「炭水化物」はしばしば混同されますが、両者はイコールではありません。炭水化物は、消化吸収を経てエネルギー源として利用できる「糖質」と腸管で一定の役割を果たしたのち、吸収されることなく排出される「食物繊維」で構成されています。つまり、「炭水化物=糖質+食物繊維」ということです。

       糖質は、主に「単糖類」「二糖類」「多糖類」の3種類に分類されます。「単糖類」は、それ以上分解されない最小単位の糖質で、ぶどう糖(グルコース)、果糖(フルクトース)、ガラクトースなどがあります。その単糖類が2つ結合したものが「二糖類」で砂糖や水あめ(麦芽糖)、乳糖などです。「多糖類」は単糖類が400~数万結合したもので、代表的なものは米などの穀類や芋類などに含まれるでんぷんがあります。

    •  これらの糖類をからだに取り込むためには、最小単位の単糖類まで分解する必要があります。多糖類を多く含むご飯を消化吸収しようとすると、いくつもの過程を経て二糖類まで分解し、最終的にはぶどう糖などの単糖類まで小さくするため、ゆっくりとエネルギー化されます。一方、糖類が2つ結合しただけの二糖類の砂糖などは、分解の過程が短くて済みますので、必要な時に素早くエネルギー源として働くことができます。

       生命維持に欠かせないエネルギー源となる栄養素は糖質の他に脂質とたんぱく質があり、三大栄養素と言われています。それぞれ1g当たり、糖質とたんぱく質は4?、脂質は9?のエネルギーを生み出します。効率がいいのは脂質ですが、糖質は一番早くエネルギー化されます。

    糖質の摂りすぎは、血管へのダメージや肥満にも繋がります

    •  健康診断で血糖値が高いと言われた、糖尿病が心配という方もいらっしゃると思います。血糖値とは、血液100?中にあるぶどう糖(単に「糖」と言うこともある)の量(㎎)を言います。ふつう空腹時は100㎎/100?前後です。

       食事で摂った糖質は単糖類まで分解され、血液の流れにのってからだの組織や各臓器に運ばれます。そして、すい臓から分泌されたインシュリンの働きによって細胞に取り込まれ、エネルギー源として利用されます。食事から摂った糖質の量とインシュリンの分泌量のバランスが取れていることが望ましい状態ですが、砂糖を多く使ったお菓子、カレーやどんぶり、麺類などの糖質が多い食事の場合、一気に大量の糖が入ってくるため、すい臓は慌ててインシュリンを増量して出すことになります。そのような状況が繰り返されると、すい臓の負担が増し、次第にインシュリンの働きも悪くなります。その結果、細胞に取り込まれない糖が血液中に溜まり、糖の濃度が高くなる「高血糖」の状態になります。高血糖が続くと血管もダメージを受けて、網膜症、動脈硬化、腎臓病や歯周病などの合併症を引き起こすきっかけを作ってしまいます。

       さらに、細胞に取り込まれずに余った糖は、脂肪に作り替えられて脂肪組織に蓄えられます。脂肪組織は「エネルギーの貯蔵庫」のような役割を担っていて、近年になって健康に役立ついくつかのホルモン様物質が作られるというメリットがあることがわかってきました。しかし、一方で脂肪細胞の数が増え一つ一つが肥大化すると、炎症を起こす物質などが作られて、糖尿病や動脈硬化などを引き起こすと言われていますし、さらには認知症の原因になる可能性も指摘されています。

    糖質を極端に減らすと、筋肉や骨にも影響があります

    • これまで糖質の摂りすぎによる弊害についてお話してきましたが、だからと言って過酷な糖質制限には問題があります。

       糖質はエネルギー源としても、生命活動を支える代謝にも必要不可欠なものです。食事療法を指導されている糖尿病の方を除いた一般の方は、極端に糖質を減らすとたんぱく質がエネルギー源として使われてしまうため、本来筋肉や骨などを作るほか代謝を進めるための酵素やホルモン、また免疫物質という役割が果たせなくなる危険があります。

       また、糖質の摂取量を抑えてエネルギー不足になると、すぐに疲れたり、からだがだるくなったり、冷えたり、やる気がなくなることもあります。


    シニアのための「糖質」の上手な摂り方は?

    •  それでは、どのように糖質と付き合っていけばいいのでしょうか。意識していただきたい点が2つあります。まず、1つ目は自分の糖質摂取量が適切かどうかを知ることです。それには肥満度を示す体格指数「BMI(ビー・エム・アイ)」を指標とするのがおすすめです。BMI値が肥満に分類された方は、糖質の量を少し減らしてもいいでしょう。

       厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」)によりますと、糖質からのエネルギー(カロリー)は、50~65%が望ましいとなっています。ところが、人類が狩猟民族だった2000年前は、糖質からのエネルギーは20%程度であったと言われています。生活様式、食糧事情が大きく異なるとはいえ、現在日本で糖尿病などの生活習慣病が増え続けていることをふまえると、糖質をいつもより少し減らす必要がある人は多いと考えられます。

       そして、2つ目はインシュリンを分泌しているすい臓に負担をかけないよう、血糖値が急激に上がらない食品を知って活用することです。参考になるのが血糖値の上昇度合いを間接的に表現するGI(グリセミックインデックス、略してジーアイ)値という数値です。このGI値が低い低GI食品は血糖値が上がるのがゆるやかです。ただし、一気にたくさん食べると、血糖値は急上昇します。それに対して高GI食品は、血糖値を急激に上げてしまいます。高GI食品だからと言って、いっさい食べないということではなく、食べる量を少なめにしたり、一緒に食物繊維や油、酢等を摂るなど、組み合わせを意識して食べることで、血糖値の上昇を低く穏やかに、下降を速やかにすることができますし、野菜を先に食べることで糖の吸収が抑えられるという研究結果もあります。日本人の伝統的な食事である一汁三菜をゆっくりよく噛んで食べることは、理にかなっていると言えます。

       現時点で肥満ではなく、血糖値も心配がないという方も、すい臓やインシュリンの働きは永遠ではありません。これからも毎日の食事を楽しめるよう、糖質と上手に付き合うための工夫をしていきましょう。


    • まとめ

      シニアの上手な糖質の摂り方

      一汁三菜のような複数のおかずをバランスよく食べましょう。
      よく噛んでゆっくり食べましょう。
      お菓子や甘いパンのほか、果物を食事替わりにするのは控えましょう。
      糖質の摂取量を減らすかどうかは、BMI値の肥満度から判断するのがおすすめです。

      ご飯やパンなどの主食を減らす前に、まずはお菓子などのデザートを少し減らしませんか? 食べる量を半分にする、2日に1回にする、などできる範囲でチャレンジしてみましょう。(よい日々編集 竹村)



    山本初子先生
    管理栄養士


    専門学校や大学で教授を歴任。栄養学関連の科目を担当し、栄養士や管理栄養士の卵たちの育成に携わること約50年、教科書の著述も。近年は、食育関連のコラムなども執筆。
    山本初子先生
    管理栄養士




    専門学校や大学で教授を歴任。栄養学関連の科目を担当し、栄養士や管理栄養士の卵たちの育成に携わること約50年、教科書の著述も。近年は、食育関連のコラムなども執筆。