腸内では約100兆個、100種類以上の腸内細菌が腸内フローラを構成しています。その構成は一人ひとり違っていて、生後3ヵ月ぐらいまでにおおまかな輪郭ができ、幼少期にほぼ固定されます。
こう言うと、一度できた腸内フローラは生涯同じで、変化がないように思われるでしょうが、決してそうではありません。加齢やストレス、暴飲暴食や運動不足、寝不足といった生活習慣の乱れ、医療行為(長期的な薬の服用、手術、長期入院など)は、腸内フローラのバランスが崩れる、すなわち腸内環境が悪くなる要因になります。特に逆流性食道炎の治療に使われるプロトンポンプ阻害薬(PPI)や、抗がん剤、抗菌薬(抗生物質)は、腸内環境に悪影響を与えることがわかっています。
しかし、腸内環境は悪いほうにだけ変わるわけではありません。元来、腸内フローラは、バランスがよい時は保守的になっているため、あまり変化を好みませんが、逆にバランスを崩し不安定になっている時こそ、食事や生活習慣の改善に取り組むことで、よいほうに変化を起こすことができます。