ドイツ在住、オーガニックビューティーアドバイザーの緒方-ヴェストベルグ美樹さんの連載です。

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2022年6月1日

ドイツ式オーガニックな暮らし第16回

オーガニックコスメブランドが取り組むゴミ問題

常に一歩先を行く、オーガニックコスメメーカーと愛用者

イメージ浸透の努力と踏み込んだ提案の大切さ

緒方－ヴェストベルグ美樹さん

- 　欧州から輸出される化粧品は世界最大の売上市場規模といわれ、その内の50％以上を占めるのがドイツとフランスです。海洋プラスチックのゴミ問題が世界中の関心となっている今、「3R*」を念頭に置いたメーカーの製品作りは、オーガニックコスメブランド如何に関わらず、ドイツでは既に大企業から中小企業まで、流行を超えた基本的な考え方となりつつあります。
  
  ＊3Rとは、ゴミを減らすためのキーワード「リデュース（減らす）」「リユース（再使用）」「リサイクル（再生利用）」の頭文字の総称
常に一歩先を行く、オーガニックコスメメーカーと愛用者
- 　オーガニックコスメの愛用者には元々、原材料が天然由来であることはもちろん、製造方法や過程も、シンプルで地球と肌に優しくあるべきという価値観を持っている人が多くいます。彼らのほとんどは、パッケージに関しても本体製品と同様、生産から処理までの全過程で、可能な限り環境負荷を軽減するという「合理性」と「包括的な視点」を、瞬時に深く理解することが出来る人たちです。
  
  　例えばドイツ全土でチェーン展開するオーガニック系のドラッグストアでは、安価で普段使いしやすい自社の人気オーガニックコスメブランドのパッケージに関して、ユニバーサルエコ（製品作りのあらゆる面でエコであること）をコンセプトに優良エコパッケージメーカーとタッグを組んだ製品作りをして、「ドイツパッケージアワード」を受賞しました。同パッケージは、80%がリサイクル原料由来、鉱物オイル不含有、生分解・再生可能資源由来のオフセット印刷インクで製造されている上、生産の際にはエコ電気が使われています。これによって生産過程だけで、二酸化炭素排出量を従来と比べ76％も減らしているそう。オーガニックを謳うメーカーとして、愛用者はもちろん、社会全体の意識を変える数値を叩き出しているといえるでしょう。
イメージ浸透の努力と踏み込んだ提案の大切さ
- 　3Rは全て大事ですが、一番の理想はそもそもプラスチックを使わないことです。ドイツではここ数年で、オーガニックコスメメーカーの大多数が液体製品をぐんと減らし、代わりに固形のシャンプーやコンディショナー、ボディケアアイテムを全面的に打ち出しました。ヘア・ボディケア製品売り場の光景が一変したのには目を見張るものがあります。オーガニックコスメのエキスパートの私でさえ、泡立ち、洗浄力、保管方法などのイメージが当初は全く湧かず、中々使用をスタート出来なかったものです。それでも、売り場の一角では「バスルームでエココンシャス、気候問題を賢明に」「固形アイテムを発見しよう！」とポスター等を使って、各メーカーの固形製品や詰め替え用製品、プラスチック不使用のケース等をまとめて紹介したり、オーガニックスーパー発行のフリーペーパーで特集をしたりと工夫がされ、自然な啓蒙が進んでいます。
  
  　単に売り場に並べるだけでなく、最新の情報発信によって、多くの人の生活にヘア・ボディケアの新しい“日常”が定着し始めているのを体感しています。

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ドイツ・フランクフルト在住
緒方－ヴェストベルグ美樹さん

オーガニックビューティアドバイザー。日本人で初・唯一のドイツ・レフォルムハウスアカデミー正式認定「ナチュラルコスメコンサルタント」を取得。著書に『ドイツ式オーガニックコスメのある生活』（BABジャパン）がある。

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