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会津より綴る 新春特別寄稿「今日も詠う。父に生かされし、この命で」

会津より綴る 新春特別寄稿「今日も詠う。父に生かされし、この命で」
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NEW
今日も詠う。
父に生かされし、この命で
 空高く、白木蓮の蕾が銀色に輝いている。厳しい冬に耐えて、春いちばんに咲く純白の花である。

 新型コロナによる自粛の日々も、もう2年になる。年が明け、3年目だ。

 日本での最初の感染者は、一昨年の1月、中国から帰ってきた30代の男性だった。

 2月には、あの大型クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」が横浜港に停泊し、検疫が始まった。感染者が続出し、死者も出た。

 この船旅をどんなに楽しみにしていたことかを思うと、胸が痛んだ。

 4月には、今まで聞いたこともない「緊急事態宣言」なるものが出され、私の不安は一気に高まり、折々の気持ちをメモしてきたノートに向かう日々も暗く沈んだ。


手洗ひに 換気 マスクと目に見えぬ
ものに怯えて今日も暮れゆく

手作りのマスク賜ひしこの夕べ
コロナ感染1万人を超ゆ

世界地図真っ赤に染まりウイルスに
席捲されしニュース怖ろし


 コロナへの不安に満ちた1年目が過ぎ、私の2年目のメモ帳は、ある衝撃を機に暫く書き込みがなかった。地震である。

 それは、令和3年2月12日の夜だった。私は何時ものようにお風呂に入ってくつろいでいた。

 突然、波のようなお湯が頭に打ち付け、窓がガタガタと鳴り出し、電気が点滅した。お風呂全体が宙に浮いた瞬間だった。浴槽の手摺りにつかまっていた私の手は滑り、一瞬にして上半身がお風呂の底に沈み、下半身が浮き上がった。

 呼吸ができなくなり、お湯を飲み込み、気を失いかけた。その時だ。私は父に抱き上げられたのだ。紛れもなく、以前この浴槽で亡くなった父だった。

 何処をどう這ったのか記憶にない。私は脱衣所で動けなくなっていた。震度6だった。

 今でも、亡父が浴槽から救い出してくれたのだと思うたびに涙がこぼれる。


浴槽にもがく我をば抱き上げし
父の幻 確かにみたり

浴槽に溺れかけたる夜の地震
今なほ消えぬ全身の痣

下肢が浮き上半身が沈む身の
手摺り頼りに今日も湯に入る


 全身の痣が消えるまで3カ月かかった。しかし首や腕の痛みは未だに残る。

 それでもお風呂は欠かせない。車椅子の自分にできる、体の痺れを和らげる方法はそれ以外なかった。唯、命はどこで躓くか分からない。限りある命である。

 あれ以来、私は万一、ということを考えるようになった。


万一の時にも恥づること無きやう
ベッドの廻り整へて臥す

父母共に一瞬にして逝きたれば
その血に生くる吾がこの鼓動


 地震の後遺症は随分続いたが、完全自粛の日々は我ながら守り通して、私も新しい年が迎えられそうである。

 ワクチンとマスクのお陰か、感染者数も落ち着いてきた。不安だが、様々な制約も解かれつつある。

 どんな令和4年になるのだろう。

 会いたい人に会い、行きたい処に行き、気兼ねのないおしゃべりを楽しむことのできる、そんな従来の生活に戻れるよう切に願う。

 そうした日々が如何にかけがえのないものであったかをも、痛いほど思い知らされた。

 唯、2年に及ぶ自粛の日々は、心身の衰えを確かなものにした。それでも生かされている命、顔を上げて生きてゆきたい。


話すこと少なくなりしこの日頃
語彙の衰へしきりに思ふ

まだ吾に気力ありしか聞き慣れぬ
片仮名言葉メモ帳にとる


 皆様、呉々もお元気で、よいお年をお迎え下さい。

大石邦子(おおいし・くにこ)
著述家、エッセイスト。
会津女子高等学校卒業後、出光興産会津事務所に入社。1964年に交通事故に遭い、半身不随となる。長期間の闘病・車いす生活を送る一方、著述家として活躍。
著書に『この生命ある限り』他多数。

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商品特徴

会津より綴る 新春特別寄稿「今日も詠う。父に生かされし、この命で」

会津より綴る 新春特別寄稿「今日も詠う。父に生かされし、この命で」
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今日も詠う。
父に生かされし、この命で
 空高く、白木蓮の蕾が銀色に輝いている。厳しい冬に耐えて、春いちばんに咲く純白の花である。

 新型コロナによる自粛の日々も、もう2年になる。年が明け、3年目だ。

 日本での最初の感染者は、一昨年の1月、中国から帰ってきた30代の男性だった。

 2月には、あの大型クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」が横浜港に停泊し、検疫が始まった。感染者が続出し、死者も出た。

 この船旅をどんなに楽しみにしていたことかを思うと、胸が痛んだ。

 4月には、今まで聞いたこともない「緊急事態宣言」なるものが出され、私の不安は一気に高まり、折々の気持ちをメモしてきたノートに向かう日々も暗く沈んだ。


手洗ひに 換気 マスクと目に見えぬ
ものに怯えて今日も暮れゆく

手作りのマスク賜ひしこの夕べ
コロナ感染1万人を超ゆ

世界地図真っ赤に染まりウイルスに
席捲されしニュース怖ろし


 コロナへの不安に満ちた1年目が過ぎ、私の2年目のメモ帳は、ある衝撃を機に暫く書き込みがなかった。地震である。

 それは、令和3年2月12日の夜だった。私は何時ものようにお風呂に入ってくつろいでいた。

 突然、波のようなお湯が頭に打ち付け、窓がガタガタと鳴り出し、電気が点滅した。お風呂全体が宙に浮いた瞬間だった。浴槽の手摺りにつかまっていた私の手は滑り、一瞬にして上半身がお風呂の底に沈み、下半身が浮き上がった。

 呼吸ができなくなり、お湯を飲み込み、気を失いかけた。その時だ。私は父に抱き上げられたのだ。紛れもなく、以前この浴槽で亡くなった父だった。

 何処をどう這ったのか記憶にない。私は脱衣所で動けなくなっていた。震度6だった。

 今でも、亡父が浴槽から救い出してくれたのだと思うたびに涙がこぼれる。


浴槽にもがく我をば抱き上げし
父の幻 確かにみたり

浴槽に溺れかけたる夜の地震
今なほ消えぬ全身の痣

下肢が浮き上半身が沈む身の
手摺り頼りに今日も湯に入る


 全身の痣が消えるまで3カ月かかった。しかし首や腕の痛みは未だに残る。

 それでもお風呂は欠かせない。車椅子の自分にできる、体の痺れを和らげる方法はそれ以外なかった。唯、命はどこで躓くか分からない。限りある命である。

 あれ以来、私は万一、ということを考えるようになった。


万一の時にも恥づること無きやう
ベッドの廻り整へて臥す

父母共に一瞬にして逝きたれば
その血に生くる吾がこの鼓動


 地震の後遺症は随分続いたが、完全自粛の日々は我ながら守り通して、私も新しい年が迎えられそうである。

 ワクチンとマスクのお陰か、感染者数も落ち着いてきた。不安だが、様々な制約も解かれつつある。

 どんな令和4年になるのだろう。

 会いたい人に会い、行きたい処に行き、気兼ねのないおしゃべりを楽しむことのできる、そんな従来の生活に戻れるよう切に願う。

 そうした日々が如何にかけがえのないものであったかをも、痛いほど思い知らされた。

 唯、2年に及ぶ自粛の日々は、心身の衰えを確かなものにした。それでも生かされている命、顔を上げて生きてゆきたい。


話すこと少なくなりしこの日頃
語彙の衰へしきりに思ふ

まだ吾に気力ありしか聞き慣れぬ
片仮名言葉メモ帳にとる


 皆様、呉々もお元気で、よいお年をお迎え下さい。

大石邦子(おおいし・くにこ)
著述家、エッセイスト。
会津女子高等学校卒業後、出光興産会津事務所に入社。1964年に交通事故に遭い、半身不随となる。長期間の闘病・車いす生活を送る一方、著述家として活躍。
著書に『この生命ある限り』他多数。

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2022年1月4日

会津より綴る 新春特別寄稿「今日も詠う。父に生かされし、この命で」

今日も詠う。
父に生かされし、この命で
 空高く、白木蓮の蕾が銀色に輝いている。厳しい冬に耐えて、春いちばんに咲く純白の花である。

 新型コロナによる自粛の日々も、もう2年になる。年が明け、3年目だ。

 日本での最初の感染者は、一昨年の1月、中国から帰ってきた30代の男性だった。

 2月には、あの大型クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」が横浜港に停泊し、検疫が始まった。感染者が続出し、死者も出た。

 この船旅をどんなに楽しみにしていたことかを思うと、胸が痛んだ。

 4月には、今まで聞いたこともない「緊急事態宣言」なるものが出され、私の不安は一気に高まり、折々の気持ちをメモしてきたノートに向かう日々も暗く沈んだ。


手洗ひに 換気 マスクと目に見えぬ
ものに怯えて今日も暮れゆく

手作りのマスク賜ひしこの夕べ
コロナ感染1万人を超ゆ

世界地図真っ赤に染まりウイルスに
席捲されしニュース怖ろし


 コロナへの不安に満ちた1年目が過ぎ、私の2年目のメモ帳は、ある衝撃を機に暫く書き込みがなかった。地震である。

 それは、令和3年2月12日の夜だった。私は何時ものようにお風呂に入ってくつろいでいた。

 突然、波のようなお湯が頭に打ち付け、窓がガタガタと鳴り出し、電気が点滅した。お風呂全体が宙に浮いた瞬間だった。浴槽の手摺りにつかまっていた私の手は滑り、一瞬にして上半身がお風呂の底に沈み、下半身が浮き上がった。

 呼吸ができなくなり、お湯を飲み込み、気を失いかけた。その時だ。私は父に抱き上げられたのだ。紛れもなく、以前この浴槽で亡くなった父だった。

 何処をどう這ったのか記憶にない。私は脱衣所で動けなくなっていた。震度6だった。

 今でも、亡父が浴槽から救い出してくれたのだと思うたびに涙がこぼれる。


浴槽にもがく我をば抱き上げし
父の幻 確かにみたり

浴槽に溺れかけたる夜の地震
今なほ消えぬ全身の痣

下肢が浮き上半身が沈む身の
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 それでもお風呂は欠かせない。車椅子の自分にできる、体の痺れを和らげる方法はそれ以外なかった。唯、命はどこで躓くか分からない。限りある命である。

 あれ以来、私は万一、ということを考えるようになった。


万一の時にも恥づること無きやう
ベッドの廻り整へて臥す

父母共に一瞬にして逝きたれば
その血に生くる吾がこの鼓動


 地震の後遺症は随分続いたが、完全自粛の日々は我ながら守り通して、私も新しい年が迎えられそうである。

 ワクチンとマスクのお陰か、感染者数も落ち着いてきた。不安だが、様々な制約も解かれつつある。

 どんな令和4年になるのだろう。

 会いたい人に会い、行きたい処に行き、気兼ねのないおしゃべりを楽しむことのできる、そんな従来の生活に戻れるよう切に願う。

 そうした日々が如何にかけがえのないものであったかをも、痛いほど思い知らされた。

 唯、2年に及ぶ自粛の日々は、心身の衰えを確かなものにした。それでも生かされている命、顔を上げて生きてゆきたい。


話すこと少なくなりしこの日頃
語彙の衰へしきりに思ふ

まだ吾に気力ありしか聞き慣れぬ
片仮名言葉メモ帳にとる


 皆様、呉々もお元気で、よいお年をお迎え下さい。

大石邦子(おおいし・くにこ)
著述家、エッセイスト。
会津女子高等学校卒業後、出光興産会津事務所に入社。1964年に交通事故に遭い、半身不随となる。長期間の闘病・車いす生活を送る一方、著述家として活躍。
著書に『この生命ある限り』他多数。