ドイツ式オーガニックな暮らし第10回

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2020年6月9日

ドイツ式オーガニックな暮らし第10回

新型コロナウイルス対策に見るドイツ人気質

ハグから肘タッチへ―― ドイツ人に起きている劇的な意識転換

断絶された状況で生まれ始めた地域の絆と個々人の意識向上

緒方－ヴェストベルグ美樹さん

新型コロナウイルス対策に見るドイツ人気質
- 　3月18日、メルケル首相は新型コロナウイルスとの闘いを「第二次世界大戦以来の挑戦」と国民に直接呼びかけ、感染拡大防止のために適切な行動をする義務があると、異例のテレビ演説をしました。それ以来、ばらつきがあったドイツ人の危機感が統一され、社会に連帯感が急速に生まれているのを実感しています。
  
  　実際にスーパーや薬局などを除く全店舗、施設、学校等が閉鎖し、ホームオフィスがメインとなり、数日間の内に日常生活が一変したのには驚きましたが、それ以上にドイツ人の適応力と規律に基づいて行動する実践力に、日々よい意味で驚かされています。
ハグから肘タッチへ―― ドイツ人に起きている劇的な意識転換
- 　ビジネスシーンでは握手、プライベートではハグやキスの習慣があり、マスクの文化がなかった欧州では、アジア地域以上に生活の隅々で劇的な意識転換が求められたといえます。今ではすっかり距離を置いて肘同士をタッチして挨拶したり、「日本式のお辞儀のほうが更に理想的なのでは?」と議論されたりもしています。以前はマスクをしているアジア人は奇異な目で見られることが多かったのですが、マスクをして歩く人も大分増え、一気に市民権を得た感じです。
  
  　また私が買い物をするスーパーでは、レジや商品棚の前の床に1.5mごとにテープが貼られ、客同士との距離を保つよう誘導されています。また、レジの店員と客との間は透明プラスチック製の簡易壁で仕切られ、入口では警備員が店舗に一定の人数以上が入らないように監視。店内では買物カゴの数が大幅に減り、購入商品のみを手に取るようにとアナウンスが流れています。感染拡大が急速な地域では、早朝にお年寄りのみの入店時間を設けているところもあるようです。
断絶された状況で生まれ始めた地域の絆と個々人の意識向上
- 　突然の変化にストレスを感じ、将来への不安も高まる中、新しい繋がりが生まれています。リスクが高く孤立しがちなお年寄りを助けようと地域でボランティアが買い物代行をしたり、医者の数が不足している現状に若い医学生が役に立ちたいと、自ら進んで医療現場に赴いています。ドイツの感染者数が未だ増加している状況下でありながらも、より深刻な状況のイタリアなどから患者を受け入れるといった行動からは、ドイツ人の懐の深さと希望を感じています。
  
  　他人への寛容と同時に、「健康は自分で責任を持って守る」という姿勢も求められています。手洗い、うがいの徹底はもちろん、免疫力を維持・アップさせるため、十分な睡眠、ストレス軽減、バランスのとれた食事、特に亜鉛、ビタミンC、D等の大切さが強調されています。ことにビタミンDの生成には太陽を浴びることが必要なため、屋内に引きこもるだけでなく、気分転換と運動不足解消のためにも、2人以下での“ソーシャルディスタンス”を意識した屋外の散歩や軽いジョギングはむしろ推奨されています。
  
  ＊この原稿は3月末～4月初旬に執筆されました。

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ドイツ・フランクフルト在住
緒方－ヴェストベルグ美樹さん

　オーガニックビューティアドバイザー。日本人で初・唯一のドイツ・レフォルムハウスアカデミー正式認定「ナチュラルコスメコンサルタント」を取得。著書に『ドイツ式オーガニックコスメのある生活』（BABジャパン）がある。

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